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肝炎
消化器内科の病気

肝炎

肝炎とは、何らかの原因により肝臓に炎症が生じる疾患で、炎症により肝臓の細胞が破壊され肝臓の機能が次第に低下していきます。肝炎を引き起こす原因は様々ありますが、日本ではウイルスが原因で生じる肝炎が多く、「ウイルス性肝炎」と言われています。

 

肝炎を起こす原因
  1. ウイルス性肝炎:ウイルスが原因で起こる肝炎

  2. 薬剤耐性肝炎:薬物や毒物、化学物質などによる肝炎

  3. アルコール性肝炎:飲酒などアルコールによる肝炎

  4. 自己免疫性肝炎:自身の免疫細胞が自分自身を攻撃してしまうことによる肝炎


肝臓は『沈黙の臓器』とも呼ばれ肝臓病の多くは、自覚症状がありません。 しかし、肝炎を放置しておくと長い経過のうちに肝硬変や肝がんになってしまいます。
ウイルス性肝炎に対する新たな経口薬の発明など、治療法もたくさんの機関で研究され、より副作用の少ない効果的な治療が行われるようになっています。医師自身が、そういった学会の報告や研究に熱心であるかないかによって、最新の安全な医療を提供できるかどうか左右されることもあります。
 

当院では肝臓専門医による診療を行っており、日々研究の進む肝炎の治療に取り組んでいます。検査などについても、お気軽にご相談ください。

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ウイルス性肝炎とは

肝炎の原因として一番多いのが「ウイルス性肝炎」です。ウイルス性肝炎は国内最大級の感染症で、肝炎ウイルスに感染している人は300万人~370万人にのぼる(日本人の約40人に1人)と推計されています。
現在、がんによる死因で3番目に多いのは肝がんで、その原因の約80%はB型・C型のウイルス性肝炎です。肝炎を引き起こすウイルスの中には、経口などから感染するものと、血液・体液や血液製剤などから感染するものがあります。

肝炎を放置すると

B型・C型肝炎ウイルスによる肝炎は慢性化しやすく、肝硬変や肝がんに進展することもあります。慢性肝炎は自覚症状がないまま静かに進展しますので油断は禁物です。自覚症状がなくても、一度は必ず肝臓専門医を受診してください。
 

肝炎ウイルス

慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド2013(日本肝臓学会編)より作図

それぞれの肝炎の症状と治療法

 

A型肝炎

A型肝炎は、流行性肝炎とも伝染性肝炎ともいわれます。A型肝炎ウイルスによる肝炎です。飲料水や生食などから感染し、集団発生することもあります。東南アジアに旅行して感染する人もいます。冬から春にかけて多く発生します。ウイルスに感染してから2~6週間後に発病し、症状は、発熱、全身倦怠感、嘔気、おう吐、悪心、腹痛、食欲低下などがあります。筋肉痛、関節痛、頭痛などの症状も見られることもあります。慢性化したり、再発することはまれで、大部分が完治します。

 

A型肝炎の治療

特異的療法はありません。症状をやわらげることが中心です。安静が第一で、食事は、高タンパクでバランスのよい食事が勧められます。予防は、A型肝炎は予防接種もあり予防が可能です。東南アジアなどの流行地に行く際は予防対策が必要です。短期用のワクチンもあります。

B型肝炎

B型肝炎ウイルス(HBV)による肝炎です。日本におけるHBV感染者は110~140万人とされています。最も多い感染経路は輸血、母子感染、性交などです。輸血による感染例は、輸血用血液の肝炎予防検査の精度が向上してから激減しています。。HBVの感染は、70~80%は不顕性感染で終わりますが、残りの20~30%の人は急性肝炎を発症します。このうちの約2%が劇症肝炎を発症し、この劇症肝炎の致死率は70%と非常に高くなっています。成人で発病した人の完治の可能性は高いですが、母子感染した子どもは慢性化し、肝硬変、肝ガンと進展することがあります。

 

B型肝炎の治療

B型慢性肝炎の治療の長期的目標は、HBs抗原を無くすことですが、この目標の達成は難しいとされています。そのため、現実的な目標として、①血液検査で行うALT値の正常化、➁HBe抗原の陰性化、➂HBVのDNA量を少なく抑える、この3つが挙げられます。この目標を達成するための治療が昨今大変進化し、現在標準治療となっている治療が大きく分けて2つあります。一つ目がインターフェロン(IFN)療法で、二つ目が核酸アナログ製剤という内服薬による治療です。どの治療法を選択するかは、患者さんの状況によって(挙児希望の方には核酸アナログ製剤は使いずらい等)異なります。当院では慶應大学病院等と緊密に連携しながら、患者さんにあった治療法を選択するようにしております。

予防はB型肝炎はワクチンもあり予防が可能です。B型肝炎ウイルスを持っている母親から生まれたお子さんや、B型肝炎ウイルスを持っている方の家族は、ワクチン接種を検討することが必要です。

C型肝炎

C型肝炎ウイルス(HCV)による肝炎です。日本におけるHCV感染者は190~230万人とされています。感染は血液や体液を介する事が多く、最近でもタトゥー、ピアス、カミソリの共用等で感染してしまった症例を見ることがあります。HCVに感染すると急性肝炎を発症し、その後30~40%の方はご自分の免疫でウイルスを体から排除し、既感染の状況になります。残りの60~70%の方はウイルスが排除されず持続感染となり、慢性肝炎に移行します。慢性肝炎になりますと、初感染から20~30年の経過で10~15%の方が肝硬変に移行します。肝硬変になってしまった場合、年に6~8%の確率で肝臓がんが発症してしまいます。

 

C型肝炎の治療

C型肝炎に対する抗ウイルス治療は、少し前まではインターフェロン(IFN)治療が主体でした。しかしここ数年研究が進み、HCVを標的とする直接作用型抗ウイルス薬(DAA:direct-acting antiviral)が治療の主流となってきています。日本では数種類の経口DAA薬が認可され使用可能な状況で、この治療によりHCVのウイルス排除率(SVR:sustained virological response)は従来のIFN療法より格段に向上しました。しかしこの治療も万能ではなく、この薬剤が効かない薬剤耐性ウイルスが存在したり、HCVのウイルスタイプや患者さんの腎臓の機能等によっても使用できる薬と使用できない薬があります。当院では、患者さんの状態を評価し、慶応病院などと連携しながら適切な治療を選択するようにしております。

日常生活の注意としては禁酒・バランスのよい食生活の確立・疲労防止・食後の休養などが必要です。

 

アルコール性肝炎

肝臓は毒素を中和する役割もあります。アルコールは一種の毒素で、肝臓によって分解されますが、アルコールの過剰な摂取により、アルコールが肝細胞を破壊することがあります。これによって炎症が引き起こされます。これをアルコール性肝炎といいます。アルコール分解能力の低い人、飲酒量が多く継続的に飲酒を行っている人は、アルコール性肝炎になりやすいです。症状は、全身の倦怠感、黄疸、肝腫大などがあげられます。

 

アルコール性肝炎の治療

原因となっているアルコールの摂取を止めることが重要です。太りぎみの人は、飲酒をやめるとともに、栄養過多にならない様に食事のエネルギー制限をする必要もあります。

自己免疫性肝炎

肝細胞膜の構成成分に対して免疫反応を起こしてしまう病気と考えられています。まれな肝炎で、原因など未知な部分の多い疾患です。1:7の割合で女性が多いです。症状は、特徴的なものはなく、通常発見されたときには慢性肝炎になってしまっていることが多く、しかも肝炎は活動的に急激に肝硬変になってしまうこともあります。

 

自己免疫性肝炎の治療

免疫抑制剤、副腎皮質ホルモン剤などを使用します。現段階では完治が難しい病気ですので、長期に服薬をする必要があります。副作用、他の疾患などについて、医師とのコミュニケーションが重要です。

​その他の肝炎

肝炎ウイルス以外のウイルスも肝炎を起こすことがあります。すべてのウイルスといっても過言ではありませんが、代表的なウイルスはEBウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルスなどです。また、薬物が原因の薬物性肝炎もあります。胆道疾患に伴う肝炎もあります。

​劇症肝炎について

ウイルス性肝炎の経過中に重症化し、急激に重い肝機能障害と意識障害などの脳障害が起こる病気です。急性肝炎の約1~2%が劇症肝炎になります。なぜ急激に悪化するのかはまだ十分に解明されていません。 強い黄疸、意識障害、ケイレン、浮腫、腹水、腎不全などが見られます。小林央医師は、慶應大学病院にて劇症肝炎の治療に携っていました。